【参加型小説・連鎖の尻尾】
第13章 儀式と邪神
「前に――――…病院の川で闘った“霊獣”を封印した数珠だ」
よく見ると…その数珠には所々…罅が入り…封印したと言うには心もとない状態に見えた。
「あの音は――――中の霊獣が封印を破っている音だった…危なく出てくる所だった!」
ペガサスの話だと――――霊獣は内側から徐々に封印を解き…出ようとしていたらしい。
「“カタカタ…”って音は――――数珠が小刻みに動いていたから?」
煌太は罅の入った数珠を見て震えた。
「大丈夫だ――――新しい数珠に封印をしなおしたし…封印も3重にしてきたから。その中には霊獣はいないぞ」
ホッとした白馬はその数珠を持ち上げる。
普通のどこにでもあるような数珠の様に見えるが――――…何ヵ所か、ここの家紋が入っていた。
「この数珠だって――――…もろいって訳じゃないっすよね?」
善がわざわざ奥から持ってきた数珠だったことを白馬が思い出す。
「あぁ――――ちゃんと清め祈りを与えた数珠だ…そう簡単に出られるわけではない」
善は自分の清めた数珠を悔しそうに見つめる。
「霊獣――――手強いっすね…」
白馬が自分の元より煌太の側を離れない猫又を気にしていると…客間の襖がサッと開き「うわぁぁぉ!」と、間抜けな声を発した。
「あら――――…尻尾を踏まれた猫のような声だこと……」
と、襖を開けたのは善とペガサスの母親…ここの大奥様“鈴”だった。
「おばぁ様!その節はお世話になりました」
「あら~、七海さん!も~~!類、七海さんがいるなら声かけてよ!――――会いたかったわ」
大奥様は一時的避難として高田が寺に来てから高田を可愛がっている。
「むさ苦しい息子ばっかりで…うんざりしていたの――――こんな息子が欲しかった!」
と、善の奥さんと二人で高田とおしゃべりをするのが楽しみになっていた。