ホントノ私ハ、此処ニイル
第1章 第1話
7年の間、私なりにS性というものと対峙してきてわかったことだが、ひと口にSだMだといっても、その広さも深さも人それぞれ、みんな違うのだ。
知識と経験を積み上げるべく、様々な道具を一通り用いたりもしてきたが、私はどうやら痛々しい・汚らしいといったハードな物は好みではないらしい。
太さ6ミリの麻紐、ペットに使うような首輪などという最低限の物以外は、かわいい奴隷からの哀願がない限り使わない。
私が“しつけ”で使うのは、もっぱら「言葉」なのだ。
命令、ご褒美、お仕置き……
私が一切手を触れることなく、そんな言葉の数々で、恍惚の表情を見せた女性も少なくはない。
彼女達のM性としての欲望を余すところなく満たしてやることが、主人である私の至福なのである。