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ホントノ私ハ、此処ニイル

第2章 第2話


 沈みかけた夕日を右の頬に受けながらひた走る国道。

 バックミラーにちらりと目を移し、そこに映ったわたしの頬は夕日を受けていない左側も薄紅になっていました。


 この信号を越えれば、自分だけの悦楽が待っている――

 営業車を運転しながら、わたしは唾をゴクリと飲み込んだのです。

 はやる気持ちを抑えながらも、やはりアクセルを踏む右足には気持ちが素直に伝わるようで、信号の色が青に変わった途端いつもより強めに踏み込んでしまいました。

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