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ホントノ私ハ、此処ニイル

第2章 第2話


 次の営業先に着くまであと少し。

 頭の中はもう、着いたその先のことでいっぱいでした。

 顔の紅潮は別に化粧のせいではありません。

 興奮、そのためです。


 わたしは最近、ようやく自分が変な感覚の持ち主だということを自覚するようになりました。

 変な感覚――それは、男の人が刃物を持つ姿を見るだけで“感じて”しまうのです。

 なにもそれは、サバイバルナイフのような物騒なものでも、あるいは戦国武将のような名刀でもありません。

 日頃よく目にする「包丁」の類なのです。

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