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ホントノ私ハ、此処ニイル

第1章 第1話   


「次長、お疲れ様です。先に行ってますから」

「あ、お疲れ様」

 係長の菅原くんに挨拶をされ、腕時計で時刻を確かめると夜の7時半を少し回ったところだった。

 今日は来週異動してしまう支店長代理の送別会で、私と出納の加賀見くん以外はすでにその会場へと足を運んでいる。

 そろそろ始まる頃だろうか。


「加賀見くん、どう?」

「はい、それが……」

 仕事が丁寧でかつ早さもある加賀見くんだが、今日に限って証書が1部見当たらないという。

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