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ホントノ私ハ、此処ニイル

第2章 第2話


 また、親指を包丁のみねに添わせて押し切るその手先は、力強くそして男を感じさせてくれます。

 ものを扱っていながら決して雑ではなく、柔らかい優しさが伝わっているようで、切られた肉の断面は恥じらうように、次第に綺麗な紅色に変化してくるのです。


 羨ましい……

 まるで、誰かに嫉妬するかのような感情さえ湧いてしまいます。

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