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ホントノ私ハ、此処ニイル

第2章 第2話


「はい、これ、よろしくね」

「わかりました」

 いつものように発注用紙を受け取りました。

「それから、これ」

 ファイルに用紙をしまっていると、わたしの手元に見慣れた携帯が差し出されました。

 自分の妄想にばかり気をとられていたせいか、渡辺さんに携帯をわたしていたことをすっかり忘れていたのです。

「あ、すみません」

 渡辺さんの大きな厚い手の平の上に乗せられた、自分の深紅の携帯に手を触れた、その時でした。


「ありがとうね、“レイカちゃん”」



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