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ホントノ私ハ、此処ニイル

第2章 第2話



――レイカちゃん?



 時が止まるというのは、こういうことを言うのでしょうか。


 ほんの一瞬、何を言っているのかわからなかったのですが、渡辺さんの放った“レイカちゃん”という名前がまぎれもなくわたしのことだと気付いた時は、胃袋の中になにか氷のように冷たいものが沈みこんだ感覚に陥ったのです。

 携帯に手をかけたまま動きが止まってしまったわたしの手を、そのままギュッと握ってきた渡辺さん。

 見上げたその顔は柔らかい表情のまま、目だけが、わたしの胸の内までもすべてを見透かしているかのような、暗くて深い色に変わっているように見えました。

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