未成熟の誘惑
第2章 強奪
着替えを済ませ、少女をベッドに寝かせた。
ソファでくつろぎながら、ケータイを取り出す。
上司に連絡して少女を引き渡して、仕事は終りだ。
だが……
魔が射したといえば正しいのだろうか。
もしくは極度の無気力状態に陥るとか、そんな感じか。
このままあの子を渡すのは惜しい、そんな風に感じ始めていた。
我ながら馬鹿馬鹿しい。
半日過ごしただけで、情が移ることなど有り得ない。
今までだってそうだったように、俺は冷静に仕事をこなしてきた。
しかし俺の中の理性とは相反するものは呼びかける。
「今まで真面目にやってきたんなら、一回くらいサボったり怠けてもいいじゃないか」
そうか………本当にそうか?
頭から消えない映像は、少女がタオルから顔を出したときの笑顔と、ベッドに連れていく時に自然と手を繋いだ瞬間だ。
右手に残る仄かな暖かさに尋ねてみても答えはなく、ただ時間だけが虚しく過ぎていった。