未成熟の誘惑
第2章 強奪
翌日、血迷った俺は少女と遊園地に来ていた。
仕事の電話がひっきりなしにかかってくるケータイは入口のゴミ箱に捨てた。
一体何をやっているんだか。
「ねぇ、最初はどれから乗るの?」
「え? ああ、あれなんかいいんじゃないか」
少女は無邪気に楽しんでいる。
この年代にとって、昨日や過去の事なんて関係ないんじゃないか?
今を最大限に生きているから、少女はあんなに輝いて見えるのでは?
くだらない妄想は捨て、しばし父親気分を堪能することにした。
アトラクションを乗り継ぎ、二人でソフトクリームを食べて、ゆるキャラの前で写真を撮った。
平凡で極普通なこの雰囲気が、何より俺に安らぎを与えてくれた。
ずっとこのままならいいのに、なんて青臭いことまで考えている。
「そうもいかないよなぁ」
「なんの話~?」
少女はきょとんとした顔で俺を見る。
お前は何にも知らないだろうけど、今俺はお前のことで頭が一杯だよコノヤロウ。
全く情けねぇ……勘弁してくれよ、俺。