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未成熟の誘惑

第3章 従属



X月3日

「日記」という単語をインターネットで検索すると、必ずといっていいほど「三日坊主」という言葉が登場する。

三日坊主とは趣味や道楽に三日以内に飽きてしまう輩のことで、あまりいい印象を与えないらしい。

少なからず面接の時に性格を表す言葉として使えば結果は絶望的、などというお節介なページもあった。

話は変わるが、私の旦那様は世間で云うところのロリータコンプレックスである。

旦那様の病気の都合上、他人の血液を摂取しなければならないことは理解している。

しかしそれは何も新鮮である必要はないし、何なら科学的に作り出した人工血液でもいいのだ。

それをわざわざ権力と金に物を言わせ、スラムや平級市民の幼女を収集しているのが旦那様だ。

勿論私たちが直接手を汚すのではない。

津田という蛇のように笑う薄気味悪い女に、私が頭を下げて頼んでいるのだ。

改めて考えると、この津田も大した悪党ではないか。

仕事を建前に、世間様の幼き子供を誘拐・拉致するのだ。

旦那様も津田も、許されてはならない犯罪者だ。

しかし私は何も言えないでいる。

私は彼らの汚れた仕事から絞り出した金で、どうにか食いぶちを繋いでいるのだ。

もはや私は部外者ではない。

願わくば旦那様の性癖が三日坊主であれば良かったのにと嘆きながら、私はこれからも寡黙な執事の役割を果たすのだろう。

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