テキストサイズ

天気師の少年

第2章 風海の力

「今日の稼ぎがパァって、元々客なんていなかったんじゃん」

「もうっ、傷つく。そういうこと言うかな?」

「ボクが雨を降らせたって、んなワケあるわけないじゃん」

「ウソつけ~。風や日光や雨を自由に操ってエッチな姿を楽しんでたくせに。エッチな姿を晒された女のコたちのショックな気持ちを考えたことあるの?」

痛いところを突かれた。女のコたちは風海が風や日光や雨を操らなければエッチな姿を晒すこともなかったんだ。不本意極まりない形で晒されたエッチな姿をオカズにしようとしていたなんて・・まだオナニーもしていないねに風海は罪悪感に襲われた。

男子というものはオナニーをした後に罪悪感や虚無感に襲われる。こんなことをして人間失格だと思うことさえある。
それは、妄想の中とはいえ何の罪もない女のコを凌辱してしまったことに対する罰だと重く受け止めて納得していた。
そこまで納得していても尚女のコをオカズにしてオナニーしなければ存在が保てないのは男の愚かさだと思う。

オナニーもしていないのに罪悪感に苦しむのを悟ったかのようにギターの女のコは勝ち気に笑った。

「いつもそうやって女のコたちを傷つけているのね。反省しなさい」

「そ、そんな・・今日が始めてなんです」

罪悪感に苛まれているうえにキツ目の口調で言われて、風海はつい力を使ったことを認めてしまった。焦ってあわわわっとなる風海を見て女のコは愉快そうに笑った。

「人が天気を自由に操れるなんて、そんな非常識な話をマジで信じてるの?」

このピンチを脱するにはこれしかない。確かに人が天気を自由に操れるなんて非常識だ。特撮やアニメじゃあるまいし。風海は非常識というロイヤルストレートフラッシュを使った。

が、彼女は涼しい顔で笑う。

「知ってるんだよね。そういうことできる人がいるって。天気師って言うんだってね」

女のコは不敵に微笑んでそう言った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ