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天気師の少年

第5章 さようなら

ストーカーたちは追いかけようとするが、マスターのあまりの迫力に足がすくんで動けなくなる。

マスターに従って走りながら風海はこれから自分がどうなってしまうのか恐ろしくなった。

そして連れて来られたのはやはりあの男たちがいかがわしいことをしている店だった。やはりここで客を取らされるのかと思ったが、マスターは意外な行動を取った。

「いろいろヒドいことをしてしまった。申し訳なかった」

マスターが深々と頭を下げるから風海は思わずきょとんとしてしまう。

「風海、あんた、こういうことをしていたの?」

と雨藍がちょっと疑いの目差しを向けたので風海は全力で首を振って否定した。

その様子を見てマスターは思わず吹き出したが、今度は雨藍に深々と頭を下げた。

「本当に何もしちゃいない。オレが無理矢理連れてきてさせようとしたが未遂だ。逃げられた。カレシにヒドいことをして本当に申し訳ない」

マスターはここの寮でふたりをかくまうことを申し出てくれた。

「えっ、でも・・」

雨藍は自分の身に危害が及ぶのが心配になった。その様子を見てマスターはまた笑い出した。

「ここに来る連中は男にしか興味のないヤツらばかりだ。ある意味女のコにとっちゃ一番安全な場所だ」

そして今度は風海を見るとマスターはフーミンの写真を出した。

「フーミンなんだろ?」

もう隠しとおすことはできないから風海はコクンと頷いた。

「実はみんなにも散々怒られてな」とマスターはバツが悪そうに笑った。

こんないいコにヒドいことをして逃げられるなんてと客たちに散々責められたらしい。売りなんかしてくれなくてもいいから一緒にいてくれるだけでいいのにと・・

「だから誰も何もしないよ。ただ、一緒に酒を飲んだりしてくれればいいんだ。ダメかな?」

売りをしなくていいならホステスとかホストみたいなものか・・。それぐらいならいいだろう。生活費の足しにもなるし・・。

風海と雨藍はしばらくここでお世話になることにした。

マスターも客たちも風海と雨藍にはよくしてくれた。みんなにはもうバレているので店の中限定でお天気お姉さんずも復活した。ただし、天気の力は使わずに。

CDやグッズも大人気で売れたが、一番の人気はフーミンのチェキ。

「こんなにいい女がいるのに何で風海ばっかり売れるワケ」と雨藍は膨れ顔をする。

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