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Happiness day

第2章 夏の終わりに想うこと

踵を返し部屋の奥へと歩いて行ってしまったカズ

ようやく正気に戻った俺は慌ててその後を追う

部屋の真ん中で背中を向けて立ち尽くすカズの腕を掴み こちらを向かせた

「カズ…」

声を掛けても俯いたまま顔を上げてくれない

「カズ…ありがと…」

掴んだ腕を引っぱり抱き寄せる

「…本当は嬉しくないんでしょ?」

「そんなことないよ。スッゲェ嬉しい」

「でも 反応なかった…」

「ごめん、驚き過ぎて現実を受け止められなかった
まさかカズがこんなことしてくれるなんて思わなかったから」

「本当は5人でサプライズパーティーしようとしてたんだ…
でも潤くんがサプライズ苦手でリアクション取れないって言ったからどうしようか迷って
そしたらあの3人が『本当に驚けば松潤も自然とリアクションするだろ』って…」

あの3人の入れ知恵か…
カズが自らこんなことしようと思わないよな…

でも『最高のプレゼント』有り難く素直に受け取らせてもらうよ

カズの頬に手を添えて上を向かせた

「ほんとごめんな?
でも 人間って本気で驚き過ぎてもリアクション出来ないもんだろ?」

「…ん」

言い聞かせるように優しく語りかけると納得してくれたのか小さく頷く

「この服可愛いね、どうしたの?」

カズの目を見つめながらニコッと微笑むと恥ずかしそうに視線を伏せた

「大野さんに借りた…
翔さんの誕生日に着てあげたら
翔さんが凄い喜んだから
潤くんも絶対喜ぶって…」

あのふたり…プライベートで何やってんだ…

でも俺もふたりの幸せのお裾分けにあやからせて貰うよ

「うん、嬉しい。今日はメイドなんだから、ご奉仕してくれるって事なんだろ?」

「あ…え、と…
何でもお申し付けください…ご主人さま」

いつもは真っ白な肌を真っ赤に染めたメイドさん

うん、最高…

その唇に契約の印を落とした

「よろしくね」

とは言え、明日明後日とライブを控えている
腰に爆弾を抱えてるカズ相手に無理は出来ないよなぁ…

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