テキストサイズ

Happiness day

第21章 とまどいながら

「あの…」

「ん?」

「ボク…大野さんから貰った物がボタンだって知ったの、一週間前なんです」

「え?なんで?あの後開けなかったの?」

「はい…飴だと思っていたので、勿体無くて開けられませんでした」

「ふふっ、そっか…」

「しかも、ボタンの意味を知ったのは今日の朝で…」

「それじゃあ、答えは出てないか」

優しく微笑む大野さん
このままだとボクの答えを聞かずに帰ってしまう?

「あっ!いえっ!さっき、答えは見つかりました」

あの子にあげずに取っておいた第二ボタンを慌ててはずした

「これっ、受け取ってくださいっ!」

勢いよく大野さんの目の前に手を差し出し、大野さんの手のひらにボタンを置いた

「いいの?」

そう言いながらも、表情は可笑しそうに笑ってる

「はいっ。ボク、ボタンの意味を知ってからずっと考えてました
ボタンを貰ってから…いいえ、大野さんと出逢ってからのボクの想いは何なんだろうって…」

大野さんと出逢って、毎日ここで過ごす事が楽しくて
大野さんが卒業する時、寂しくて
会えない日々はもっと寂しくて…
もうすぐ会えると思うと嬉しくて

ボタンの意味を知ってからは、ドキドキして…

大野さんが、もしちゃんとした理由でボクに第二ボタンをくれたのだとしたら…
そう考えると、早く大野さんに会いたくなった

それなのに、大野さんがなかなか姿を現さなくて
もしかして、ボクの勘違いなのかな、って思ったら、落ち込んで…

「ボクは、こういうジェットコースターのような気持ちを何と言うか知ってます
だって、本の中で何度も経験してるから」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ