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Happiness day

第23章 Bad boy

翔は、また正面を向き、ポツポツと話し出した

「あの人ね、部活の先輩で…凄く可愛がってもらってたんだ…
3年生だから、部活引退しちゃったら寂しいなぁ、なんて思ってたら
あっちも同じ様に感じてくれてたみたいで…
引退する時に『試しに付き合ってみる?』なんて、一応告白めいた事されちゃって
『はい』って答えちゃった…」

自嘲気味に微笑む翔

「男同士で抵抗なかった?」

「ウチの高校、男子高だから…
周りにもいたんだよね、男同士で付き合ってる人…
だから、そんなに抵抗もなくて…
尊敬してた先輩から言われたから、嬉しくて勢いで返事しちゃった…」

他にもいるんだ…なんだ、オレって、そんなに珍しい奴でもないのか

「でもさ、恋人ってなったら、それなりに『好き』になっていくんだよね…
憧れてた先輩から、ちゃんと恋人として見られるようになった…」

だろうな…あの花火大会のふたりは、ちゃんと恋人してた

「…でもね、先輩が受験勉強の為に、塾に行くようになって…
そこで、他校の女子から告られたんだって…」

翔の瞳が哀しい気に揺れた

「そしたらね…『やっぱり違うな』って思ったみたい…」

「違う?なにが?」

翔の目に水分が増す

「男と女じゃ、体が違うって…
『どんなに可愛くても、体は男だから…
だから、ごめん』って謝られた…」

「なんだそれっ!そんなの最初からわかってた事だろ!
そんな理由で振るなら、最初から告るなよ!」

腹が立って、立ち上がってしまったオレを翔が見上げる

「智くん…」

翔の瞳からは、ポロポロと涙が溢れ出した

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