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Happiness day

第23章 Bad boy

3年になって、もうすぐ部活も引退となる初夏

学校から帰宅すると、庭先でかあちゃんと翔が立ち話をしていた

「おかえり、智」

「おかえりなさい、智くん」

「ただいま」

翔の笑顔を見ると部活の疲れも一瞬で吹っ飛ぶ

それにしても、こんな時間にふたりで立ち話なんて珍しい
どうしたのかと思っていたら、かあちゃんが嬉しそうに報告してくれた

「智。翔くん、就職決まったんですって」

「え!マジで!おめでとう、翔!」

就活が大変ってのは翔から聞いていたから、決まった事は本当に嬉しい

「ありがとう、智くん」

「智!アンタ、まだ翔くんの事呼び捨てして!
失礼だから、やめなさいって何度も言ってるでしょ!」

「おばさん、大丈夫ですから」

怒ったかあちゃんを翔が宥める

オレが翔を呼び捨てにしはじめたのは、小学校に入学してすぐ

学校の友達を呼び捨てする様になったのがキッカケ
翔も友達なんだから呼び捨てでいいよな…と呼び捨てするようになった

今までにも、何度もかあちゃんに注意されてるけど、完全にスルー

「翔くん、そんなに智の事、甘やかさなくていいのよ?
年上なんだからビシッと言ってやって?
じゃないと、いつまでも生意気な口きくから」

「ふふっ、俺と智くんは友達だからいいんです」

「本当、優しいんだから…
智!翔くんに感謝しなさいよ!普通ならありえないんだからね!」

「へいへい…」

「智っ!」

「おばさん、中3の男の子なんて、みんなこんな感じですよ?」

「そんな事ないわよ。翔くんはずっと優しくていい子だわ
それに比べて智は、小さい頃からやんちゃ坊主で…」

悪かったな…アンタの息子なんだから仕方ないだろ、ってのは、口に出しては言わない

言ったら倍になって返ってくるからな…

「あ、そうそう智。アンタに家庭教師つける事にしたから」

「はっ⁉︎何言ってんだよ!
オレ、家で勉強なんてしねぇぞ!」

「そうは言っても受験生だしねぇ…」

「学校でやるだけで十分だよ」

「十分じゃないから言ってるのよ」

確かに、今までの成績見ればそうなんだろうけど…

「でも家庭教師なんて必要な…」

「ということで、よろしくね?翔くん」

「はい。任せてください、おばさん」

「…い?…へ?」

ニコニコ顔で微笑み合うふたり

家庭教師って翔?

かあちゃん、ナイス!

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