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Happiness day

第23章 Bad boy

かあちゃんが作っておいてくれたサンドイッチとオレ用の牛乳

翔はこれ以上背が伸びたら困るから、アイスコーヒーを用意して部屋に戻る

「お待たせ」

ドアを開けると、窓際に立っていた翔がこちらに振り向く

「ありがと」

さっきまで勉強をしていた小さなテーブルにトレーを置くと、翔も移動してきた

「何見てたの?」

「ん?」

翔の前にアイスコーヒーを置きながら聞いた

「外、見てただろ?」

「あぁ…もうすぐ花火大会だなぁ、って…」

翔が見ていたのは、花火を上げる河川敷の方向だったのか

「もう5年経つんだなぁ…」

翔がポツリと呟いた

翔が顔の濃い男とデートしているのを見かけた花火大会

オレが翔の事をもう一度好きになったきっかけ

あれから5年か…

それを思い出すって事は、今でもアイツの事を好きだったりするのか?

だから、あれから翔は誰とも付き合わない?

「智くんは誰かと花火見に行くの?」

「いや、今年は誰とも約束してない
みんな受験勉強で忙しいんだろ?
塾に行ってる奴もいるし」

「そっか…なら、一緒に行く?」

「一緒にって、翔と⁈」

「うん。俺、あれ以来、現地に行ってないんだよね
だから、久しぶりに真下から見たいと思って」

「それって、ふたりきりでって事?」

「そう。嫌かな?」

「嫌じゃない!行くよっ!」

「ふふっ。良かった、断られなくて」

断る訳ないだろ!

ふたりきりで花火大会に出掛けるなんて、デートじゃん!

ま、そう思ってるのはオレだけなんだろうけど…

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