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Happiness day

第23章 Bad boy

花火大会当日は、雲一つない晴天

打ち上げ開始は7時だけど、少し早めに行って屋台で買い物して、メシを食ってから
ゆっくり花火を見ようって事になった

「翔くん、ごめんなさいねぇ…
勉強以外でもお世話になって」

翔と待ち合わせの時間に外に出ると
かあちゃんも後からついてきて、翔にそんな事を言う

子供じゃねぇんだから『世話になって』なんてやめてくれよな
これはオレの中じゃ、立派なデートなんだから

「おばさん、誘ったのは俺の方なんで
世話になってるとしたら、俺の方ですよ?」

「翔くんったら本当いい子〜。
翔くんみたいな息子が欲しかったわぁ」

だったらそうなるように育てろよ
ってか、遺伝子的に無理じゃね?

「翔、行くぞ。かあちゃんの話に付き合ってたら、いつまでも出掛けられねぇ…
下手すりゃ花火が始まっちまう」

「まぁ、失礼ね」

でも事実だろ…

「すみません、おばさん」

「あらやだ、翔くんが謝る必要ないわよ。
気を付けて行ってきてね」

「はい。いってきます」

翔は軽く会釈をすると、オレの方に向き直る

「行こっか」 

「おう」

ふたりで歩き出すと、後ろからかあちゃんの声が聞こえた

「いってらっしゃい」

仕方ねえから、軽く手を上げて応えた

「ふふっ。なんだかんだ言っても
智くんって、お母さんと仲良いよね」

「…んなことねぇよ…」

もちろん嫌いじゃねぇけど…

「照れちゃって…可愛い」

「う、うっせ…」

隣でニコニコ笑ってる翔の方が、よっぽど可愛いわ!

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