テキストサイズ

Happiness day

第23章 Bad boy

花火会場は、既に多くの人で賑わっていた

「わぁ…前よりも屋台の種類が増えてる」

キョロキョロと屋台を覗いては『あれもいいなぁ、これもいいなぁ』と悩ましげに声をあげる翔

「色々買って、分けようぜ
その方が色んなもん食えるだろ?」

「そうだね。そうしよっ」

そうと決まれば翔の動きは早かった

焼きそばとたこ焼き、大判焼きとじゃがバターとケバブにラムネ、それに焼き鳥まで

「粉もん多いな…
それにしても、こんなに食えるのか?」

両手に持った袋を持ち上げ、翔に見せる

「だってどれも美味しそうなんだもん。
あっ!かき氷!」

「まだ買うの?」

「かき氷は別物だよ。暑いから水分摂らないと」

「ラムネ買っただろ」

「ふふっ。バレた?
ただ食べたかっただけ」

子供みたいに無邪気な笑顔しやがって、これじゃあどっちが年上だか…

「早く行こっ!智くんっ」

翔がオレの腕を取り歩き出す

「しゃあねぇなぁ」

なんて言いながら、内心穏やじゃいられない

これって、本当に恋人同士みたいじゃね?

胸の中の擽ったさが止まらないんですけど!

「智くん、何味にする?」

「ブルーハワイかな」

「え〜、早い〜。悩まないの?」

「別に何味でも同じだろ」

「そんな事ないよ」

「早くしないと、メシが冷めるぞ?」

「あ、そっか。じゃあイチゴにしよ」

「いいのか?そんなに簡単に決めて」

「智くんが『メシが冷める』って言ったんじゃん」

唇を軽く尖らせる翔
あれ?機嫌損ねた?翔のこんな表情初めて見る

本気で冷めるって思った訳じゃないんだけど…

「もっと考えていいよ
冬じゃないから、冷めても平気だし」

今更だけど、言ったことを訂正
すると、翔はニコッと笑った

「ううん、いい。久しぶりに食べるから、王道のイチゴにする」

「そう?…ならいいんだけど」

笑ってるから大丈夫なのか?

「ふふっ。やっぱり智くんは優しいね?」

ん?どこが?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ