テキストサイズ

Happiness day

第23章 Bad boy

「もう終わっちゃうね…」

翔はナイアガラの滝を見つめながら寂しそうに呟いた

本当なら、翔が満足するまで花火を打ち上げてやれればいいんだけど、オレにそんな力はない…

だから…

「来年、また来ればいいだろ?」

そう言ってやるのが精一杯

「来年かぁ…来年、一緒に来てくれる人、いるかな…」

花火を見つめ続ける翔が、花火と同じように儚げに見えた

「誰もいなければ、オレがまた一緒に来てやるよ」

「智くんが?」

オレの方を向き小首を傾げる

「おう。オレじゃ駄目か?」 

「駄目じゃないけど…
智くん、来年は高校生でしょ?
新しい友達が出来るし、もしかしたら彼女も出来るかも…
そしたら、その人たちと一緒に来るんじゃない?」

「翔と約束してれば、他の奴と約束しないから大丈夫だよ」

「ホントに?いいの?」

「いいよ。出来たばっかの友達より、翔と来た方が楽しめるし
それに彼女なんて出来ないしな?」

「そんな事ないでしょ
智くんなら、すぐに彼女出来ちゃうよ」

「それって、オレの事、ある程度は評価してくれてるって事?」

「ある程度なんてもんじゃないよ
智くんは凄く良い子だよ?
だから、智くんの事好きになる女子は絶対いる」

…やっぱ良い子か…

「女なんて興味ねぇし…」

「そうなの?彼女欲しいと思わない?」

「いらねぇよ…ほら、もう花火も終わったし、帰ろ」

折角楽しい時間を過ごしたのに
これ以上話してたら落ち込みそうだ…

翔は、オレに彼女が出来ても平気なんだろう
わかってた事とはいえ、少し凹む…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ