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Happiness day

第23章 Bad boy

「智くんっ⁈」

押し倒されて驚きの声を上げた翔の唇を塞いだ

「んっ!」

さっきみたいに、軽く触れるだけじゃなく
翔に覆い被さり、唇をぎゅっと強く押し付けた

キスの仕方さえまともに知らないオレは、それしか出来なかったけど

これくらいすれば、翔も抵抗すると思ったのに、予想はまたも裏切られる

翔は、オレの事を押し退けるでもなく
されるがままになっていた

なんでっ⁉︎
これだけの事されても、なんでまだ反応がない?

友達同士のおふざけだって、こんな事されれば怒るだろ?

普通、『やめろっ!』って言うんじゃねぇの?

翔は何を考えてるんだ?

翔がどんな表情をしているのか確認したくて、翔から離れた

目を閉じてる翔の表情に、怒りは感じられない

ゆっくりと瞼が開くと、少し困ったような表情を浮かべた

「智くん…」

困惑気味にオレを呼ぶ

どう対処していいのか困ってる?
ガキの戯事にしてもやり過ぎだけど
優しい翔は、どう説教していいかわからないって?

翔にそんな表情させてしまった事が情けなくて
それでいて、やっぱり子供扱いされた事が悔しくて

色々な感情が入り混じったオレは、一刻も早く翔の視線から逃れたくなった

「…悪かったな…世話の焼けるガキで…」

スクッと立ち上がり、ドアに向かう

「智くん?どこ行くの?」

翔の問いには答えず部屋の外に出ると、階段を駆け降り、その勢いのまま外へ出た

「智くん!」

後を追って玄関まで来たのか
背後に翔の声が聞こえたけど、翔が追ってくる事はなかった

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