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Happiness day

第23章 Bad boy

疲弊した頭でトボトボと家まで辿り着く
俯きながら、重い気持ちでドアを開けた

「智くんっ!」

大きな声で名前を呼ばれ、ビクッとして顔を上げると…

「あ…しょお…な、んで…」

真っ赤な顔をした翔が、靴を履いた状態で立っていた

「…よかった…」

安堵したようにポツリと呟き
オレに抱きついて来た翔の体は、やけに熱い

「もしかして…ずっとここにいたのか?」

エアコンも効かない風通しの悪い玄関で、ずっとオレの事を待ってた?

オレの肩口で翔が頷く

「智くんの事、追って行きたかったけど
家の鍵開けっ放しに出来ないから…」

追って来なかったのは、そういう理由か…
呆れられた訳じゃなかったんだ

ごちゃごちゃ色んな事考えてたけど
抱きしめてくれた事と、少し涙声の翔に、見捨てられたんじゃなかったんだとわかって安心した

「ごめん…
でも部屋に居れば良かったのに
暑かっただろ?」

少し体を離した翔が、潤んだ瞳でオレを見つめる

「智くんの事が心配で…
スマホも置いて行っちゃうし
ここで待てば、帰って来たらすぐにわかるから…」

「そっか。とりあえず部屋に戻ろう」

さっきよりも、顔が赤くなってる…
翔の体の熱を冷ましてやらなくちゃ、熱中症になっちまう

促すように、翔の腰に手を添え、靴を脱がせ上がらせた

「飲み物持ってくから、先に部屋に戻ってて」

「…ちゃんと戻って来てね…」

不安そうに揺れる瞳

「大丈夫…もう逃げないから」

「うん…わかった。上で待ってる」

オレの翔への想い…
どうせ終わるなら、せめてもう少しマシな終わらせ方をしたい

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