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世界で一番尊いあなた(嵐)

第2章 BAR MARIN


翔「彼女、ああだけどすごく良い奴なんだ。良くしてもらってるよ」

和也「へぇ…」

翔ちゃんにあんな個性的な友人がいるとは思ってもみなかった。翔ちゃんのお墨付きを貰うくらいだ、多少は信用できるのかもしれない

翔「そういえば、昨日は何飲んだの?」

和也「ああ…昨日は…」

この話題はまた翔ちゃんのことをイライラさせてしまうんじゃないかとヒヤヒヤする

和也「えっと……赤くて…ロブ…なんだっけ」

和也(それにしても…なんで翔ちゃんは俺がほかの男と飲みに行くのを露骨に嫌がるんだろう…。)

翔「あー…ロブロイ?」

和也「そう!それ」

翔「ふーん、」

和也(もしかして…翔ちゃん、嫉妬してくれてる…?)

翔「いつの間にかメンバーがいない時にも度数の高い酒飲むようになったんだね」

翔「別に強くないのに」

和也「ああ…うん」

翔「飲まされたの?」

和也「お酒とかよくわかんないからっていったら…よかったらって」

翔「よかったらって…」

翔「先輩としてのプライドないのかよ」ボソッ

和也(ああ…そんなわけないか)

和也「そうだよね…ごめん」

一瞬でも夢を見てしまった自分が恥ずかしい

和也(翔ちゃんはただ調子に乗っていた俺にイラついてただけだ)

俯くと涙が零れ落ちそうなことに気づき
ぐっと唾を飲み込み上を向いた

和也(ああ俺はこんなことで涙が溢れてしまうくらい翔ちゃんのことが好きなんだな)

ジュークボックスから静かに流れるしっとりとしたジャズがうるさく感じるほどの沈黙

和也(翔ちゃんはなんで俺を誘ったのかな)

すごく嬉しいはずのふたりきりの空間が
今は無数の黒い薔薇に囲まれたトゲだらけの
暗い鳥籠中ののようだった

マスター「はぁ〜い♡おまたせ♡お酒できたよ〜ん♡ん?なに話してたのん?」

酒棚の奥から愉快な鼻歌が聞こえてきた
マスターは俺達の異様な空気に気づいたようでとっさに話をすり替える

マスター「みて〜ん♡カクテル作ってきたわよ〜♡」

カウンターテーブルに置かれたのはちいさくてかわいい黄色と赤のカクテルだった
翔ちゃんは迷わず赤いカクテルを自分の方へ寄せると先程の表情とは打って変わっていつもの笑顔でマスターと話し始めた

翔「これ、なに?…キャロル?」

マスター「あたりよっ!♡さすが翔ちゃ〜ん♡」

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