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世界で一番尊いあなた(嵐)

第2章 BAR MARIN

マスター「ええ、いきなり。アタシ達以外にお客は数人しかいなかったけど、周りの客のいきなり何言ってんだこいつって空気、今でも覚えてるわ」

マスター「もう完全アウェイ、だけど翔ちゃんはただニヤニヤしながらアタシを見てて こんなイケメンに見つめられてるんだ、意地でもこの店をアタシのものにしてやる!ってそんな意気だったわ」

マスター「そしたらあら!びっくり!マスターはなんの迷いもなくはいどうぞってこの店をアタシにくれたのよ」

マスター「だいぶお年を召したおじ様だったから隠居も考えてたみたいで、なんかいいタイミングだったみたいっ♪ 」

今の俺には俺の想像を遥かに超えた波乱万丈な人生がとても魅力的に思えた

和也「いやぁ…すごい…」

でも、魅力的に思えるからこそ、
そこにあった翔ちゃんの存在を羨ましいと思ってしまう

和也「あなたの人生を…翔さんが変えてくれたんですね」

そしてやっぱり…悔しかった
俺の人生を弄ぶあの人が
誰かの人生に光を与えていることを改めて感じた

マスター「そうよ。貴方と一緒でね。」

和也「…一緒…?」

マスター「貴方、翔ちゃんに恋してるでしょ?」

その言葉で俺は現実に引き戻された
俺はアイドルで、こんなところでオネエと楽しく話していいような人間じゃない
一般の方はなにを漏らすかわからない、俺はこの人に俺と翔ちゃんの秘密を悟られてしまった

和也「あっ、ち、がう、俺は」

マスター「大丈夫、大丈夫よ」

そう言うとマスターは
この場をどう切り替えればいいのか、動揺と焦りで泳ぐ俺の目を一瞬で捕らえた

マスター「アタシはあの人に救われた。あの人の仲間の話を誰かに漏らすようなそんな品性下劣な人間じゃないわ」

マスターの綺麗な指先が優しく俺の手を包む
その瞳とマスターの体温で
焦りとか、不安とか、我慢とか、
色々なものが下へ下へ落ちていくような
そんな感覚を覚えた

マスター「…二宮くん、泣かないで。大丈夫よ」

和也「…」

和也(ああまた俺は…無意識に涙を流しているんだな)

情緒不安定、きっとこういう人のことを言うんだろう
泣いたり笑ったり、俺は忙しいな

マスター「ひとりぼっちで辛かったわよね。大丈夫、アタシは貴方の気持ちわかるわよ」

今日知り合ったばかりの一般の方にここまで心を許すことができるなんて

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