
世界で一番尊いあなた(嵐)
第4章 暗い夢
和也「馬鹿野郎…!んなこといって…んむぅ!」
三島は俺の両頬をぎゅっと握った
これじゃあ上手く話せない
翔ちゃんに助けを求めたいくらいだったが
ガタイのいい三島と細身の俺じゃあ体格差がありすぎる。身動きすら取れなかった
和也「まびで!!ぁやよ!!(まじでやめろ)」
三島「なあに〜?」
和也「はわぇょ!!やら!!(はなれろ やだ)」
三島「ふふ…にの…超可愛いな…」
三島の影で目の前が真っ暗になる
鼻息までも感じることの出来る距離
和也(ああ…)
翔ちゃんの目の前で好きでもない相手にキスされそうになっているというのに、抵抗すらできない自分が不甲斐なくて情けなくて、涙が溢れてしまいそうだった
和也(もうだめだ…翔ちゃんの前で俺…こんなの…っ)
俺はもう覚悟を決めるしかなくて、ぎゅっと目を瞑りただ時が過ぎるのを待った。
はずだった
和也「っ…!」
突然身体が大きく揺れた
感覚を覚えた右腕の先を見れば
そこには力強く俺の腕を引く貴方がいた
翔「にの」
和也「しょ、ちゃ…」
確実にキスをする…そんな流れをぶった切ってのこの展開に三島含め周りは動揺を隠せないようだった
翔「にの、帰るよ」
翔ちゃんはさっきより強く俺の手を引いた
翔ちゃんとの距離が近くなる
俺はあっという間に翔ちゃんの腕の中にいた
和也(あぁ…俺の大好きな香りだ)
翔「悪いけど、俺とにのは明日も早いからもう帰る。お代はそこに置いといたから好きなだけ飲んで満足したらお前らもとっとと帰れ」
翔ちゃんは一見冷静だったと思う
でも俺は、俺だけは、
俺の肩を抱く翔ちゃんの腕が怒りで小さく震えていたことを知っている
強引すぎる翔ちゃんに場がシラケることは覚悟だったが、意外にもその展開は彼らにウケたらしく「嵐ってやっぱ絆すげ〜!」なんて盛り上がってる声が背後から聞こえてきた
そのまま俺は喋る間もなく翔ちゃんに手を引かれ店を跡にした
店を出ると、もちろん外は真っ暗でただ月明かりが俺らを照らすだけだった
とにかくタクシーを呼ぼうとiPhoneに手を触れた時、翔ちゃんは俺を人気のない潰れたコンビニの裏に引きずり込んだ
和也「えっ、ちょっと…!」
その瞬間、ぎゅっとあなたの温もりに包まれる
12月初旬の寒い夜にはあなたの温もりはとてもここちよかった
