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桜華楼物語

第14章 楓

愛しい旦那様へ

お元気でございますか?
こうして文を書くのも、何度目でしょう。
ちゃんと届いているのかと、不安になるほどでごさいます。

恋しい恋しい旦那様…
楓は逢いたくてたまらないのです。
どれだけの客を相手にしても、旦那様を想わない日はありません。

楓の心は、常に旦那様の元に…。

どうかこの気持ちをお判りくださいまし。
遊女の戯言とお思いにならないで…。

お商売で忙しいのは承知の上ですが、この気持ちはどうにもならないのです。
我儘な楓をお許しください。

すぐには無理ならば…
せめてお返事の文をお願いします。

旦那様を想い身を焦がしてる遊女を哀れと思し召して…

どうか、どうか…


楓より


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