
君と僕の世界(嵐)
第5章 遊園地デート
櫻井宅 和也side
和也「ん〜〜…書けねえ…。」
目の前にあるのはいつまでもしらっぽのルーズリーフ。
本来それに向かって熱心にペンを走らせなければならないのだが
俺が見てるのは天井に浮かぶ高そうなガラスキューブライト。
それがこの書斎だけで5つもある。
…総額いくらなんだろう。
金持ってんなあ。
翔「かず、どうした。さっきからずっと唸ってるみたいだけど。」
和也「ああ、翔ちゃん…。」
ホカホカとした白い湯気。
お風呂上がりの翔ちゃんの肌はまるで赤ちゃんみたいに柔らかそう。
その肌に触れたくて思わず手を伸ばしてみたが
いけない、いけない。
今はそれどころではない。
和也「今度のソロ。作詞してんだ。」
翔「あ〜、そういえばそうだね。かずはさすがだなあ…なんでもできちゃうね。」
和也「いや…まだ何も浮かんでないけど。あ、ありがと」
翔ちゃんが置いたグラスの氷がカラン、とぶつかる音を立てた。
…今日はアイスか。9月の少し涼しくなったこの季節でも、夜はまだ汗ばむ。
俺が夜遅くまで仕事をしている時はいつもこうやってコーヒーを淹れてくれるんだ。でも俺はブラックが好きなのに、翔ちゃんの淹れるコーヒーはいつも少し甘い。
翔「今回はどんなのにする予定?」
和也「うん…いつも通りラブソング。…だけど、どうだろう…。今回のはちょっと違う雰囲気にしたいんだよね。」
翔「違う雰囲気?」
次のアルバムに収録される予定の俺のソロ曲。
これにはこだわりがあって、毎回作詞作曲を自分で手懸けている。
いつもならこの時期、もう曲のイメージができ始めてるくらいなのに。どうやらスランプなのかもしれない。
和也「うん。最近のは少し暗かったでしょ?失恋とか…そういうのばっかで。まあ、それって俺の気持ちに反映されてた部分があってさ」
翔「気持ちの反映?」
和也「そう。あの頃はさ、俺…翔ちゃんのことが好きで好きで…でも届かないっていうもどかしい気持ちを歌詞にぶつけてたんだ。」
翔「へぇ…。あの名曲たちは俺のこと考えて作られたってわけね」
和也「遠回しだけどね。ぐちゃぐちゃな気持ちを整理したくて、真っ黒な気持ちを綺麗な歌詞にして…そうやって生まれた曲。…残念?」
翔「いいや。全然。」
