
君と僕の世界(嵐)
第5章 遊園地デート
俺の気持ちのはけ口として生まれた曲…と言われては否定できないが、
経緯はどうあれ俺にとって大切な歌詞に違いはない。
そんな曲の生みの親と言っても過言ではない翔ちゃんに、俺の宝物を否定されなくてよかったとホッと胸を撫で下ろす。
和也「だから俺の曲ってその時の俺の気持ちなの。刺激を受けたものをこうやって、そのまま歌にしたいんだ。」
翔「というと?」
和也「そう、だな。今回は…そう。今の俺にしか書けないもの…だから、この幸せな気持ち。うん、ずっとずっと、大好きだった彼と想いが通じ合って…幸せ!って気持ち。これを書きたいんだ」
和也「…あ、路線、変わりすぎ?」
翔「ふふっ、いいんじゃない。かずらしくて」
今の気持ちは今しか書けない。
初々しくて甘酸っぱい。まだ知らないことだらけで、刺激だらけのこの日々を俺は歌にしたい、宝物にしたい。
…でも
和也「…はぁ」
和也「…方向性は見えた…けど、…書けない…書きたいことや伝えたいことがありすぎて。」
今まではなんだかんだ代わり映えのない日々の中で見つけた小さな幸せとか、届けばいいのにな なんて酔いしれた気持ちを歌詞にしてたけど
翔ちゃんと付き合ってから…刺激を受けすぎて…
アイデアの波が一気に押し寄せている…ような…
いくらそのビッグウェーブに乗ろうと意気込んだって
翔ちゃんへの好きの気持ちが俺をあっという間に呑み込んで…
つまり…その…
和也「…色々考えるだけで…翔ちゃんのこと…好き好き!ってなって…作詞どころじゃ…なくなる…。」
翔「プッ…」
翔「はははははっ!ほんっとかわいいなあ〜」
和也「はあ?!笑い事じゃないのよ、こっちは真剣に困ってんの!」
ここまでくると翔ちゃんに染まりすぎている自分に苛立ちさえ覚える。
だけど翔ちゃんは能天気にケラケラと笑った。
なんだか真剣に語ってしまったのが恥ずかしくなって、俺は無意識にアイスコーヒーに手を伸ばす。
ああ、やっぱり今日も甘いな
翔「だったらさ、俺にいい案があるよ」
和也「…いい案…?」
翔「うん。ああ、ふざけてないよ。真剣、真剣。」
