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始まりは冬の夜から

第2章 Act.2

「いいですよ」

 ようやく落ち着いてから、私は答えた。

「ちょっとずつ、お互いを知るのは良いことですから。仕事上の椎名課長はよく知ってますけど、プライベートな椎名課長のことは全然知りませんから。椎名課長もそうでしょ?」

「まあ、そうだな。確かに、俺が一番に惚れたのは、お前の仕事に対する真面目で謙虚な姿勢だった」

「その分、プライベートはだらしないから、もしかしたら幻滅されるかもしれませんね」

「それはない」

「どうして言いきれるんですか?」

「俺は半端な気持ちでお前に惚れたわけじゃないからだ」

 不器用かと思えば、こっちが赤面してしまうような台詞をサラリと言ってくれる。
 でも、真面目だからこそ、ストレートに想いを伝えてくれるのだろうか。

「幻滅されないようにします」

 肩を竦めながら言った時だった。
 空からチラチラと白いものが落ちてきた。

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