ビタースイートに隠し味
第4章 Act.4☆
「こっち座れ」
ソファに腰を下ろした椎名課長が、空いている隣を何度も叩く。
「いや、こっちでいいです」
頑として動かない私の腕を、椎名課長は半ば強引に引いてきた。
もう、なすがままになるしかなかった。
ふたりで並んで座ると、また距離感が縮まったような気がする。
「いただきます」
私は緊張を紛らわそうと、静かにアイスの上にブランデー入りコーヒーを注いだ。
慎重に入れてみても、マグカップだとどうしても上手く注げない。
底や側面が汚れてしまったので、ティッシュを貰って漏れてしまった部分を拭き取る。
一方で、椎名課長は躊躇わずにダバッとコーヒーを上からかける。
かえってその方が良かったのかもしれない。
何となくそれを見届けてから、アフォガードに手を付ける。
コーヒーとアイスを同時に掬い、口に入れる。
冷たいアイスの甘さと熱いコーヒーのほろ苦さが混ざる感触は、レストランで食べたものと一緒だった。
でも、それに加えてお酒の芳しさが鼻から抜ける。
ブランデーは少量なはずなのに、いっぺんに酔いが回りそうだ。
「我ながら美味いな」
椎名課長は、レストランで食べていた時よりもさらに幸せそうな表情をしている。
「ブランデー入りの方が美味しいですか?」
私の問いに、椎名課長は、「美味いな」と大きく頷く。
「アイスは安物だけどな。ブランデーが入るだけで一気に高級感が増す。自分で作れば量も自由自在だ」
そう言いながら、あっという間に平らげてしまった。
よほど美味しかったのだろうと思いながら、私も少し遅れて完食した。
「じゃあ、私片付けますね」
私が立ち上がろうとした時、また、椎名課長に手首を掴まれた。
とたんにバランスを崩し、椎名課長の膝の上に尻もちを搗いてしまう。
ソファに腰を下ろした椎名課長が、空いている隣を何度も叩く。
「いや、こっちでいいです」
頑として動かない私の腕を、椎名課長は半ば強引に引いてきた。
もう、なすがままになるしかなかった。
ふたりで並んで座ると、また距離感が縮まったような気がする。
「いただきます」
私は緊張を紛らわそうと、静かにアイスの上にブランデー入りコーヒーを注いだ。
慎重に入れてみても、マグカップだとどうしても上手く注げない。
底や側面が汚れてしまったので、ティッシュを貰って漏れてしまった部分を拭き取る。
一方で、椎名課長は躊躇わずにダバッとコーヒーを上からかける。
かえってその方が良かったのかもしれない。
何となくそれを見届けてから、アフォガードに手を付ける。
コーヒーとアイスを同時に掬い、口に入れる。
冷たいアイスの甘さと熱いコーヒーのほろ苦さが混ざる感触は、レストランで食べたものと一緒だった。
でも、それに加えてお酒の芳しさが鼻から抜ける。
ブランデーは少量なはずなのに、いっぺんに酔いが回りそうだ。
「我ながら美味いな」
椎名課長は、レストランで食べていた時よりもさらに幸せそうな表情をしている。
「ブランデー入りの方が美味しいですか?」
私の問いに、椎名課長は、「美味いな」と大きく頷く。
「アイスは安物だけどな。ブランデーが入るだけで一気に高級感が増す。自分で作れば量も自由自在だ」
そう言いながら、あっという間に平らげてしまった。
よほど美味しかったのだろうと思いながら、私も少し遅れて完食した。
「じゃあ、私片付けますね」
私が立ち上がろうとした時、また、椎名課長に手首を掴まれた。
とたんにバランスを崩し、椎名課長の膝の上に尻もちを搗いてしまう。