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ビタースイートに隠し味

第4章 Act.4☆

「ちょっと危ない!」

「いいから」

 何がいいのか、と突っ込もうとしたのだけど、私の唇を椎名課長のそれで塞がれてしまった。

 当然、椎名課長とは初めてのキスだった。
 それなのに、いきなり口の割れ目から舌を入れられ、私のに絡めてくる。

 もちろん、私も生娘じゃないからディープキスをされて騒ぐ気はない。
 でも、心の準備ぐらいはさせてほしかったのが本音だ。

 文句ぐらいは言いたい気持ちだったのに、しだいに全身から力が抜けてくる。
 思いのほか椎名課長のキスが気持ち良くて、抗議どころか私もそれに応えていた。

 長いことキスを交わしていたら、椎名課長の手が私の足元を弄り、ワンピースに手を入れる。
 そして、ストッキングを器用に脱がせ、指でショーツ越しに私の秘所に触れてきた。

「濡れてる」

 耳元でわざとらしく囁き、なおも執拗に擦ってくる。

 じれったい。
 悔しいけれど下肢が疼いてしまって、触られれば触られるほど熱いものがじわじわと溢れ出る。

「課長、欲しい……」

 椎名課長の首に両腕を回しながら催促してしまう。

 椎名課長は、今私が望んでいるものを必ずくれる。
 そう思っていたのに――

「ダメだよ」

 否定された。
 でも、そのあとですぐ、「ただし」と続けた。

「ふたりきりの時に『課長』と呼ぶのをやめたら望みを叶えるよ。苗字も禁止。俺も下の名前で呼ぶから。――奈波(ななみ)」

 不意打ちもいいところだ。
 今まで、下の名前で呼ぶ素振りすらなかったのに。

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