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ビタースイートに隠し味

第2章 Act.2

「でも、また意外な一面が知れて良かった」

「甘いもの好きってトコがか?」

「ですね」

「そこは素直に受け止めよう」

「ありがとうございます」

 そんな会話を交わしている間に、ワインと料理が次々に運ばれてきた。
 テーブルいっぱいに並んだ料理は圧巻だ。
 全部ふたりで食べられるのだろうかと、不意に不安になった。

「――食べきれるかな……?」

 怖気付ている私とは対照的に、椎名課長は、「大丈夫だ」と強気だ。

「藤森が食えない分は俺が食ってやる。これぐらいたいしたことない。任せとけ」

「頼もしいですね」

 持ち上げてみれば、「だろ?」とちょっと得意げに状態を反らせた。

「まず、藤森は無理するな。でも、遠慮もするなよ?」

「はい」

 私は口元を綻ばせ、フォークを手に取る。
 デザートのアフォガードのことを考えて、食べ過ぎないように気を付けないといけない。

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