ビタースイートに隠し味
第2章 Act.2
「そういえば課長」
落ち着きがなくなっている椎名課長のため、私から話題転換した。
「食後にアフォガードを、って注文してましたけど、課長、甘いもの食べるんですか?」
椎名課長の目尻がピクリと痙攣した。
「――それは、男は甘いもんを食うな、ってことか?」
「そんなこと一言も言ってないじゃないですか……」
不貞腐れた態度の椎名課長に、思わず深い溜め息が漏れる。
「ただ、ちょっと意外だと思っただけです。今まで課長が甘いものを食べてるトコを見たことないですし」
「――軽蔑するか……?」
「なんでですか?」
「――男が、甘いもん好きだとか……」
「だから、誰もそこまで言ってませんって!」
あまりにもウジウジしているから、つい、強い口調になってしまった。
「男とか女とか関係ないです。課長のように甘いものが好きな男性だっていますし、辛いものが好きで甘いものが嫌いな女性だっています。そんなのをいちいち気にする方がどうかしてますよ」
「――正論だ……」
私のドン引きレベルな熱弁に、椎名課長は素直に頷いてくれた。
「すまなかった。藤森はそんなことぐらいで他人を軽蔑するようなことはしないと分かってたはずなのに、つい……」
「いえ、私もムキになってしまってすみません……」
ふたりで同時に頭を下げ、それから顔を合わせたとたん、どちらからともなく噴き出してしまった。
落ち着きがなくなっている椎名課長のため、私から話題転換した。
「食後にアフォガードを、って注文してましたけど、課長、甘いもの食べるんですか?」
椎名課長の目尻がピクリと痙攣した。
「――それは、男は甘いもんを食うな、ってことか?」
「そんなこと一言も言ってないじゃないですか……」
不貞腐れた態度の椎名課長に、思わず深い溜め息が漏れる。
「ただ、ちょっと意外だと思っただけです。今まで課長が甘いものを食べてるトコを見たことないですし」
「――軽蔑するか……?」
「なんでですか?」
「――男が、甘いもん好きだとか……」
「だから、誰もそこまで言ってませんって!」
あまりにもウジウジしているから、つい、強い口調になってしまった。
「男とか女とか関係ないです。課長のように甘いものが好きな男性だっていますし、辛いものが好きで甘いものが嫌いな女性だっています。そんなのをいちいち気にする方がどうかしてますよ」
「――正論だ……」
私のドン引きレベルな熱弁に、椎名課長は素直に頷いてくれた。
「すまなかった。藤森はそんなことぐらいで他人を軽蔑するようなことはしないと分かってたはずなのに、つい……」
「いえ、私もムキになってしまってすみません……」
ふたりで同時に頭を下げ、それから顔を合わせたとたん、どちらからともなく噴き出してしまった。