
Melting Sweet
第4章 Act.4
送別会兼親睦会が終わると、店の前でそれぞれが散ってゆく。
そのまま真っ直ぐ家に帰る人もいれば、二次会へと向かう人もいる。
もちろん、私は前者だ。
二次会組が固まって盛り上がっている中、私は静かにその場を離れて駅に向かう。
まだ飲み足りないから、家に着いたらひとりで飲むつもりだ。
駅までは徒歩十分とちょっと。
距離はさほどないとはいえ、飲み屋街を離れると外灯が頼りなくなってくるから、よくよく考えると女のひとり歩きは危険だ。
といっても、私のような年増を襲うようなモノ好きがいるなんて考えられないけれど。
それほど量は飲んでいないつもりだったけど、身体が火照ってふわふわしている。
辺りを包み込む空気は湿り気が多く、すぐにじっとりと汗ばんでくる。
「だる……」
手の平をうちわ代わりに仰ぎながら歩いていると、微かに声が聴こえたような気がした。
最初は全く気にも留めなかった。
けれども、はっきりと「唐沢さん!」と呼ぶ声が耳に飛び込んできたとたん、私ははたと足を止めた。
まさかと思って振り返ったら――その〈まさか〉だった。
「いや、気付いたらいないからビックリしましたよ……」
そう告げる声の主――杉本君は、肩で何度も息を繰り返す。
どうやら、走って私を追い駆けて来たらしい。
「どうしたの? 二次会は?」
苦しそうにゼイゼイしている杉本君に呆れながら訊ねる。
杉本君は呼吸を整え、私を真っ直ぐに見つめながら、「断りました」とあっさり返してくる。
「断った? どうして? あんなに誘われてたのに?」
自分でもおかしいと思いつつ、杉本君に詰め寄ってしまった。
そのまま真っ直ぐ家に帰る人もいれば、二次会へと向かう人もいる。
もちろん、私は前者だ。
二次会組が固まって盛り上がっている中、私は静かにその場を離れて駅に向かう。
まだ飲み足りないから、家に着いたらひとりで飲むつもりだ。
駅までは徒歩十分とちょっと。
距離はさほどないとはいえ、飲み屋街を離れると外灯が頼りなくなってくるから、よくよく考えると女のひとり歩きは危険だ。
といっても、私のような年増を襲うようなモノ好きがいるなんて考えられないけれど。
それほど量は飲んでいないつもりだったけど、身体が火照ってふわふわしている。
辺りを包み込む空気は湿り気が多く、すぐにじっとりと汗ばんでくる。
「だる……」
手の平をうちわ代わりに仰ぎながら歩いていると、微かに声が聴こえたような気がした。
最初は全く気にも留めなかった。
けれども、はっきりと「唐沢さん!」と呼ぶ声が耳に飛び込んできたとたん、私ははたと足を止めた。
まさかと思って振り返ったら――その〈まさか〉だった。
「いや、気付いたらいないからビックリしましたよ……」
そう告げる声の主――杉本君は、肩で何度も息を繰り返す。
どうやら、走って私を追い駆けて来たらしい。
「どうしたの? 二次会は?」
苦しそうにゼイゼイしている杉本君に呆れながら訊ねる。
杉本君は呼吸を整え、私を真っ直ぐに見つめながら、「断りました」とあっさり返してくる。
「断った? どうして? あんなに誘われてたのに?」
自分でもおかしいと思いつつ、杉本君に詰め寄ってしまった。
