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Melting Sweet

第6章 Act.6☆

「夕純さん」

 真顔で私の名前を口にする。

「なに?」

「もう一回、『好き』って言ってくれませんか?」

「――今言うの?」

「はい」

 私は戸惑った。
 行為の最中は、勢いで『好き』と言えたけど、終わったあとではさすがに恥ずかしい。

「――どうしても?」

「どうしても」

 ここまで強く求められてしまっては、答えないわけにはいかない。
 私はしばらく視線をさ迷わせ、思いきって告げた。

「――好き……、衛也君が……」

 言い終える間もなく、全身がカッと熱くなった。
 まともに顔を合わせられなくて、再び衛也君に顔を埋めた。

「ほんと可愛いな、夕純さん」

 笑いを含みながら、衛也君が耳元で囁いてくる。

 私はムッとしたけれど、言い返せるだけの気持ちの余裕はなかった。

「そんな夕純さんも、俺は好きですよ」

 トドメとばかりに私に殺し文句を言ってきた衛也君は、私の首筋に唇を押し付ける。

「また、ふたりっきりで飲みましょう。そうだな、今度は俺のトコにしましょうか? もちろん、次からは酒を飲むだけじゃないですよ? 分かってるとは思いますけどね」

「――馬鹿じゃない……」

 私はくぐもった声で吐き出しつつ、衛也君との〈次〉に胸を膨らませていた。

「私、料理出来ないからね?」

 しっかり念を押すと、衛也君からは、「いいですよ」と返ってきた。

「俺はただ、夕純さんと酒飲んでイチャイチャ出来れば満足ですから」

 サラリと言われ、私はそのまま絶句してしまった。

 やっぱり、私は衛也君には勝てそうな気がしない。
 もちろん、プライベートでは、だけど。

[Melting Sweet-End]
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