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Melting Sweet

第4章 Act.4

「どうしても嫌なら無理強いはしません。唐沢さんと飲みたいと思うのは俺のわがままですから。だから今日は……」

「いいわよ」

 杉本君の台詞を途中で遮った。

 驚いて目を見開いている杉本君をジッと見据えながら、私は続ける。

「飲みに、付き合ってあげる」

「いや、別に無理しなくても……」

「無理してない」

 ウダウダしている杉本君に軽く苛立ちつつ、さらに言葉を紡いだ。

「どうせ私もひとり酒するつもりだったし。けど、ひとりで飲むより誰かいた方が楽しく飲めるんじゃない?」

「ほんとに、いいんですか……?」

「いいって言ってるじゃない」

 語気が荒くなってきた私に、杉本君は辟易したように肩を小さく上下に動かした。

「分かりました。それじゃ、今度はふたりだけの二次会をしましょう。場所は、俺に任せてもらってもいいですか?」

「もちろん。というか、私に頼られても困るし」

「それもそうですね。ここは男の俺がしっかりしないと」

 あはは、と声を上げて笑い、杉本君が先に立って歩き出す。
 私も歩き始めると、杉本君は私に歩幅を合わせてくれる。
 考えてみたら、一次会に向かっている時も、ずっと私に合わせてくれていた、と不意に想い出した。

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