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Melting Sweet

第5章 Act.5

 私達は時間をかけて貪り合った。
 飢えた獣のように求め、やがて、どちらからともなく唇を離した。

「――まだ、間に合いますよ……?」

 キスまでしておいて、まだそんなことを言ってくる。
 私は眉をひそめ、杉本君を睨んだ。

「そんな怖い顔をしないで」

 杉本君は困ったように微苦笑を浮かべながら肩を竦める。

「唐沢さんが突き放してくれなきゃ、ほんとに歯止めが利かなくなりますから。もちろん、ここで押し倒すつもりは全くありませんけど」

 再び、私の唇に杉本君のそれを軽く押し付ける。
 そして、「後悔、しませんか?」と念を押してきた。

「後悔なんてしないわ」

 私は杉本君を見据えたままで続けた。

「今はとにかく、杉本君が欲しくて仕方ないもの。私を、杉本君で満たして……?」

 杉本君はわずかに目を見開いた。
 でも、すぐに笑みを取り戻し、「敵わないな」と溜め息を交えながら口にした。

「唐沢さんにおねだりされたら、これ以上我慢出来なくなっちゃうじゃないですか」

 杉本君は私の肩を抱くと、耳元で囁いた。

「ここを出たら、あなたを抱きます」

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