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その瞳にうつりたくて…

第5章 思い出

この感覚は何だ?
胸が締め付けられるようなこの痛みは…。
彼女を騙してる罪悪感か?
一体何なんだ?

「はぁ…。マジで何だよ…」

俺の胸に顔を埋めたり、匂いを嗅いだり…、俺の心は掻き乱されてばかり。
彼女といると、全力疾走したかのように心臓が苦しくなる。
これじゃ、俺の心臓が保たねぇよ…。

彼女にはもう会わないって決めたのに
会えば会うほど彼女に惑わされていくのがわかる。
15歳以上も歳が離れてる女性に振り回されてる。
情けない。

これ以上彼女には近づいてはいけないと思ったが明日も会いに行くって約束してしまった。
約束なんて破って行かないという手もあるが、それじゃ彼女が悲しんでしまう。
彼女にとって俺は唯一の友達らしいし、俺に会うことであんなに嬉しそうな顔をしてくれるんだから。

変だな、俺。
正体がバレるのだけは避けようとしているのに、彼女に会いに行こうとしてる。
彼女に会いたいと思ってしまう。



「はぁ、お待たせ~…」

10分も遅れてレッスン室に入ると生徒達は既に集まっていた。
床に座り俺が来るのを待っていた。
レッスン室のドアを開けた瞬間、生徒達の視線が一斉に俺に突き刺さった。

「悪い、遅れた…」

息を切らせながら中に入る俺を見て生徒達はクスクスと笑ってる。
指導員が遅刻とかありえねぇよなぁ…。

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