テキストサイズ

小さな妻

第6章 5.駆け引き

女性経験の豊富なモテ男なら、セックスの前には喜びしかないのだろう。

しかし、私がこのままセックスへとことを進めていくためには、大きな勇気が必要だった。

キスをしながら彼女のTシャツの下から手を入れ、大きなバストを優しく包み込むように愛撫をした。


美優のバストはゴムボールのように硬かった。

強く揉むと、乳房の中心に「芯」のような硬い部分がある。

それは触っていても決して気持ち良いものではなく、性的な興奮が得られるものではなかった。


ベッドの部屋につくと「服を脱いで」ともう一度キスをし、美優に言った。

「おじさんもね」というと、美優はすでに短パンに手をかけていた。

私を誘うようないやらしい目つきをしながら、ゆっくりと服を脱いでいく様子は、まるで古い映画の娼婦のようだ。


全裸になった中年男と小学生児童が不潔な部屋に立っている光景は異様で、犯罪が連想されることは十分に承知できた。

私は緊張のあまり、勃起もしなかった。美優の体は美しく光を放つようで、キメが細かい肌をしている。

あまりに魅力が強すぎると、手を出すのがためらわれる。


しかし、あまり長い時間沈黙していると居心地が悪い。

こんな小さな子を前にしてもコミュニケーション能力の低さを発揮してしまう自分自身が情けない…。


しかし、彼女は「少女」ではなく確実に「女」だった。

こんな年齢でも女は女であることが不思議だった。

別に彼女にマウンティングをするつもりもないが、そのままでは自分が嫌いになりそうだったので、思い切って言葉を発する。


「ねえ、見せ合いっこもいいけど、セックスしてみない?」

言ったあとに喉がカラカラになったのを覚えている。


美優が、「セックスしたことあるの?」と聞き返したので、「一応ね」と答える。

「すご~い!」

とさっき私の部屋のパソコンを見たときと同じような幼い口調だった。

「私としたい?」

とさらに聞くので、「もちろん、可愛いからね」というと、その時初めて子供らしい仕草で照れ、耳を赤くしていた。

――正常に思春期を送った男性なら、恋愛をして《駆け引き》をするだろう。

私はこれまでその部分を端折って生きてきた。


目の前にいる女性は12歳の少女だが、私は人生で初めて《駆け引き》ができたことで、少しおとなになれたような気がした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ