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ヌードモデルは『ミス・キャンバス』になれるのか

第3章 知佳の場合――レオタードの憧憬

正確に動いているだけ。一糸もまとってないから、いつもなら見えないところが見えているだけ。

もしかすると、レオタード着用の方が美しいはずと感じたのも、
レオタードが恥部を隠していることを意識すれば、もっと過激で美しいポーズになるのに……と無意識に思ったからだったのかもしれない。
それは間違いだった。

いま、はっきりわかった。知佳はレオタードでも裸でも関係ないのだ。恥ずかしくないのだ。
(下着姿を恥ずかしがることとは矛盾しないよ)

広い場所と音楽を与えられて、肉体は最高の躍動美を見せている。

やはりレオタードは無いほうがいい。
ヌードの勝利。

そして、私はヌードモデル。

だから、誇りと自信を取り戻そう。

やがてポーズが決まった。

片足で立ち、体幹はほとんど水平。顔は伏せて、手は空中を掻いているような独特の形。
フランス語で名前がついている正統なポーズらしい。手もマイム(メッセージをもった手の形)になっているとか。
……おっぱいも少しは垂れた。

私もスカートを意識しながら部屋の隅でやってみたけど、無理だった。

実景写真も撮ったけど、全裸の知佳はずっとポーズをキープできていた。

バレリーナの体力はすごい。


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