
ヌードモデルは『ミス・キャンバス』になれるのか
第3章 知佳の場合――レオタードの憧憬
全裸の激しい準備運動(?)を終えると、知佳はガウンを着てたっぷり休憩をとった。
やがて定刻になると私に付き添われて隣のゼミ室に入った。
▽
男女のゼミ生は、惜しげもなく晒された知佳の裸身に息を呑んだ。
美しすぎるのだから仕方がない。
アピールするための最高のポーズを見つけるためには、実際に動いてみるのが一番だった。
知佳自身が選んだレッスン用のピアノ曲がかけられ、
バーこそないが十分な空間のあるゼミ室で、知佳は普段のレッスン通りに動いた。
ポアントだかなんだか知らないが、基本の動作を訓練するための曲だから「舞う」ではなく「動く」と表現するしかないが、
それは、見ている方に精神力を要求される過激な人体表現だった。
乳房は乳房だ。お尻はお尻だ。性器は性器だ。
それらが、揺れる。回る。開く。
ここにいるのは羞恥心のある人間なの?
プログラムされたアンドロイドじゃないの?
そんな錯覚さえ抱いてしまう。
負けたな。
セミプロのヌードモデルは現役バレリーナに負けました。
モデル台の上の私は、一糸まとわぬ姿は平気でも、脚を開くとなると、
(あん、見えちゃう……しかたない、不可抗力不可抗力)
なんて克服しながら敢行しているというのに──
控え室でやったのは準備運動に過ぎなかったということが、性器(何回も書くな)が見える頻度の違いだけでわかってしまう。
やがて定刻になると私に付き添われて隣のゼミ室に入った。
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男女のゼミ生は、惜しげもなく晒された知佳の裸身に息を呑んだ。
美しすぎるのだから仕方がない。
アピールするための最高のポーズを見つけるためには、実際に動いてみるのが一番だった。
知佳自身が選んだレッスン用のピアノ曲がかけられ、
バーこそないが十分な空間のあるゼミ室で、知佳は普段のレッスン通りに動いた。
ポアントだかなんだか知らないが、基本の動作を訓練するための曲だから「舞う」ではなく「動く」と表現するしかないが、
それは、見ている方に精神力を要求される過激な人体表現だった。
乳房は乳房だ。お尻はお尻だ。性器は性器だ。
それらが、揺れる。回る。開く。
ここにいるのは羞恥心のある人間なの?
プログラムされたアンドロイドじゃないの?
そんな錯覚さえ抱いてしまう。
負けたな。
セミプロのヌードモデルは現役バレリーナに負けました。
モデル台の上の私は、一糸まとわぬ姿は平気でも、脚を開くとなると、
(あん、見えちゃう……しかたない、不可抗力不可抗力)
なんて克服しながら敢行しているというのに──
控え室でやったのは準備運動に過ぎなかったということが、性器(何回も書くな)が見える頻度の違いだけでわかってしまう。
