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愛は楽しく [改訂版]

第1章 愛は楽しく

         3

 保育園に帰って、園長に報告しましたら、なんで名前を聞かなかったのかと叱られました。
 勉さんを知っている、という同僚がいました。
 保育園と、同じ町内にある、塾の経営者ということです。
 わたしが、お礼にいくことになりました。
 帰宅途中に、勉さんの塾があるからです。
 お礼なんていいのに、と言いながら、持っていったクッキーの箱をじっと見ていたのを、知っていますからね、勉さん。
 「うわぁ
  すごい本」
 「どれでも
  持っていっていいですよ」
 「わたし
  児童書が好きなんです」
 「この辺にあります」
 ローズマリー・サトクリフの本が、10冊もありました。
 『アーサー王の最後の戦い』は、読んだことがありません。
 そう言いますと、
 「サトクリフを
  知っているなら
  ほんとに
  児童書が
  好きなんですね」
 「これ
  お借りしても
  いいですか」
 「もちろんです
  もし
  時間があるようでしたら
  コーヒーでも
  いかがですか」
 「わたし
  もしあれば
  紅茶が
  いいです」
 「あります
  FAUCHONという
  フランスの高級紅茶です」
 「飲みたいです」
 本格的なティポットで淹れてくれた紅茶は、美味しかった。
 「持ってこられた
  クッキーを
  開けましょう」
 じっと見ていたことは、言いませんでした。

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