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第1章 おかえり
「やっぱ、来てくれへんかったな」
ワントーン低い簓の声が耳に届いた。
「……来てくれへんって、
お前が先に来とるんやないか」
「…じゃあ、待ってたら来てくれてたん?」
「……行こう思ってたわ、一休みしてからな…」
「ほらな、そんな事やと思っててん!
来て待っといて正解やったわ!
時間も指定してないから一休みされたら
いつまで待っても来ん可能性あったしなあ?」
「…うるさいわ、ボケ」
少し、図星を憑かれて返す言葉に困った。
「ボケで結構ですぅー」
「……で、頼みって、なんやねん」
「……あぁっ!それな!」
思いついたように笑顔になる。
「別に!何もないねん!!」
「はあっ!?それ、どういう事や!!」