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堅実メイドの献身

第2章 真昼間の辞令

「いえ、そんなことは、、藤井さんにそんな事おっしゃって頂くとは恐縮です。」

と冷静に返す。お偉い方から過剰に評価される時はほいほい喜んではいけない。考え過ぎかもしれないが、謙虚に返したほうが無難である。

「三崎さんよりあなたを薦められてね。」

「メイド長から?」

三崎に視線を移すと、相変わらず上品な微笑みを浮かべているが、何も言わない。

「あの、私に何かご依頼でしょうか?」

こちらから聞いてもいいのか、わからなかったが、気になって聞いてしまった。

「そうですねぇ、、この度業務の効率化を計画してまして、それで既存の業務で無駄や改善点がないか今一度見直すことにしたのです。」

藤井は顎に手をやりながら、思案げに書類と雅を交互に見比べる。

「それでしたら、一度屋敷内をご案内して、ご説明させていただいたほうがよろしいでしょうか?」

そう言う事ならば、雅としても是非協力したい。この屋敷は広い分、管理するのにもそれなりに人の手がかかる。
コスト削減の為にも効率化するのはいい案だと思う。

「それはいい案ですね。ぜひ、お願い致します。」




と言うわけで、屋敷内を周りながら藤井に色々説明することになった。

「こちらの食器棚には、旦那様方の普段の食事される時用の食器と、それ以外の来客時用の食器、カトラリーなどが一緒に入っているのですが、これらは別々に・・・」

「ふむふむ。」

「1階から3階までの共通の備品は、1階の倉庫で一括管理したほうが・・・」

「なるほど、なるほど。」

「それぞれのシフトはこの様に変更した方が、全体的に負担が少ないかと・・・」

「確かに、確かに」

藤井は雅の説明を頷きながら聞き、時たま質問などしては、少し考えこむ様な様子も見られる。

「あらかたの説明はこんなところですね。他に何か気になる点などありますでしょうか?」

「いえ、とても参考になりました。近日中には新たな業務プランを発表させて頂きます。色々変更点などあり、使用人の皆さんには最初の内は負担が増えてしまうかもしれませんが、」

「慣れるまでの辛抱ですね。結果的に効率良くなれば問題ないかと。」

藤井をフォローするわけではないが、思った事を伝える。

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