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堅実メイドの献身

第2章 真昼間の辞令

「ありがとうございます。そう言って頂けると助かります。その際には各メイドへの連絡など、私達との間に入って頂くことになるかと思います。」

「かしこまりました。」

その日は何事もなく終わり。
3日後に辞令は下る。



「伊東さん、暎人坊ちゃんのお付きメイドになって下さい。」

藤井から突然言われて戸惑った。
お付きメイド、つまり暎人専任のメイドに指名されているということなのか。

「・・・お付きメイド、、あの、それって」

「そのままの意味ですよ。暎人様ももう社会人ですから、そろそろ専任の者をつけなければと思っていたところなのです。」

にっこりとして、落ち着いた声で藤井は言った。

「ですが、先日の業務改定の件では、他のメイドとの連絡をとる役割を担うというお話では、、」

「あぁ、それなら三崎さんに任せておけば問題ないでしょう。」

「ですが、何故私が、、メイドなら他にも候補者がおりますし、今まで暎人様は専任の者をつけるのに難色を示されてると聞いてましたが。」

旦那様のお付きメイドは三崎が勤めている。だから、暎人にもお付きの者をというのは、わかるのだが、今まで暎人は専任の者は要らないと言って、誰も付いていなかった。それが、何故今更。

「お嫌ですか?ある意味昇進ですよ。それに、暎人様は難色を示していたわけではないのです。ただ適任者がいなかっただけのことなのです。」

「嫌というわけでは、、ただ突然のことで戸惑ってしまって、、藤井さんは私が適任だとお思いで?」

「もちろん。先日の説明を聞いていて、安心してお任せできると思いました。」

つまり、先日屋敷を共に周ったのは見定められていたということなのだろう。

「・・・かしこまりました。」

正直あまり気乗りしない。が、上司からの
指示なら仕方あるまい。

「ありがとうございます。この後、三崎さんから詳細の説明があり、その後、暎人様とお顔合わせになります。」

「はい、わかりました。」

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