ひとつ屋根の下の愛情論
第7章 日常と後回しの三日月
秋音の熱い背中がひんやりとする…
まだ、熱がある秋音だ――――…いつもより温かく感じる。
「まだ――――熱あるな…」
「うん――――…あるね」
そうやって…互いの体温を感じて眠りにつく。
コイツは――――…義理ではあるが弟である。
なのに…何故か――――…下っ腹辺りがゾクゾクっと…違和感を受ける。
「――――マジで…熱い…」
「――――…」
秋音の返事はなかった。
寝ている…らしい。
そして、ふと思い出す――――…別れた彼女たちが良く言う言葉を…
「――――私のこと…どのくらい好き?」
だったな…
ボソッと呟いたその言葉は寝た秋音には聞こえなかったと思いたいが…
微かに背中が動いた気かした。
その日の夜は――――…綺麗な三日月が…閉まり損ねたカーテンの隙間から見えた。
俺はその三日月を見ながら…ゆっくりと目を閉じた。