ひとつ屋根の下の愛情論
第7章 日常と後回しの三日月
「ふ~ん…やっぱりね、そんな気はした」
秋音は二杯目を食べ終えると――――…
「たまには、雑炊でも作って機嫌取れば良かったんじゃない?」
と、笑った。
「は?嫌だ――――面倒くさい」
俺は残りの雑炊を食べ、片付けた。
風呂から上がると――――…秋音は俺の布団でまた寝ていた。
「お前――――そろそろ…自分のベッドで寝ろよ…」
「ん~…やだ、まだ――――怖い」
“怖い”と、言うと秋音は俺に手を伸ばした。
「なんだよ――――…」
「今日も――――背中貸して?」
そう言って…布団のスペースを空ける。
そう――――…
最近の俺の性処理不安のひとつの原因は…この“背中レンタル”もあるのかも知れない。
「またかよ――――…お前…来週から学校だろ?その調子で大丈夫なのか?!」
「わかんねぇ…でも、不眠症は律夏の背中で解決した気がする」
同じ布団で背中同士をくっつけて寝る…このスタイルに何をドキドキする必要があるのか疑問だが――――…
ドキドキしてしまうのだから……俺の性処理は前途多難である。