ひとつ屋根の下の愛情論
第10章 裏表の夏
甘ったるい香りに甘いパンケーキ…しかも…甘いミルクティー…
横沢さんのあざとい笑みが――――…俺を脅迫する。
“あなたも――――私と一緒”
「美味しいね!」
「――――うん」
ビターと言うわりにはビター感はほぼゼロで…セットで頼んだブラック珈琲に助けられながら食べている状態だ。
「――――夏…だね?」
「は?――――そうだね」
何の脈略もなく始まった横沢さんの会話に…俺は「連想ゲームか?」と、食事の手を止めた。
「わ――――…私ね…///福田君に…お願いが…あるの」
「お願い?」
夏と全く関係ない話で“夏だね?”はどこ行った?と…会話の着地点を探す。
「これから――――わ…私と…ホテルに…行かない?」
「――――は?」
上目遣いのモジモジ仕草に…恐怖を感じた。