ひとつ屋根の下の愛情論
第10章 裏表の夏
塾を出ると――――…満面の笑みで俺を待つ横沢さんに連れられ、パンケーキの店に入った。
甘ったるい香りが店内を包み、一瞬吐き気がした。
律夏は…きっとこんな場所は選ばない。
珈琲の旨い店を探し、さりげなくエスコートして……
「福田君――――…なに頼む?頭の疲れはやっぱり甘いものだよね!」
しまった――――…律夏の事を考えていた…
実際、律夏がどんな風に店を選びエスコートするかなんて…知りもしないで…
「ビターチョコの…パンケーキにしようかな?」
「///あっ、それも美味しそうだね――――!でも私は~イチゴかな!」
――――あざとい…
そう思った瞬間…横沢さんへの興味はほぼ薄れていた。